介護施設 マニュアル作成ツールの選び方 やり方がわからない|初心者でもできるAI活用術
この記事の要点
介護施設のマニュアル作成ツールの選び方を5つのチェックポイントで解説。無料のGoogleドキュメントとChatGPTで手順書を整備し、月20時間を5時間に減らした実例手順を紹介します。
川崎市高津区で定員29名の小規模多機能型居宅介護を運営する森下由紀さん(51歳・女性・管理者)。介護職員は常勤7名・パート9名、平均年齢は48歳です。手順書はWordファイル、ヒヤリハットの注意点は事務所の壁の貼り紙、送迎ルートは前任者が作ったExcel。「マニュアルはある。ただ、どこに何があるか分かるのは私だけ」という状態でした。新人が入るたびに口頭で説明し直し、夜勤帯の判断は結局電話で自分に確認が来る。「マニュアル作成ツールを入れれば解決するのでは」と検索してみたものの、出てくるのは月額数万円のサービスばかり。何を基準に選べばいいのか分からず、比較タブを20個開いたまま3か月が過ぎていました。
> ※本記事の事例は、介護施設でよくあるお悩みをもとに構成したフィクションです。
結論から言えば、介護施設のマニュアル作成ツールは「今すでに使っているもの+無料のAI」から始めるのが最短で、選ぶときのチェックポイントは5つだけです。 高機能な専用サービスは、運用が回り始めてからでも遅くありません。森下さんはこの順番に切り替えたことで、マニュアル整備にかけていた月20時間を月5時間まで減らし、新人へのつきっきり説明も半分になりました。この記事では、ツール選びの基準から、AIを使った具体的な作り方まで順番に解説します。
介護施設のマニュアル作成ツール選び、なぜ迷うのか?
森下さんのある1日
朝7時前に出勤し、夜勤者からの申し送り。9時から利用者の受け入れと入浴の段取り、日中は職員のシフト調整・家族対応・ケアプランの確認・行政への提出書類。夕方に送迎が終わって、ようやく事務作業。「マニュアルを整えたい」と思っても、着手できるのは20時以降で、その頃には集中力が残っていません。
比較サイトを開いても、書かれているのは製造業や飲食チェーンの導入事例ばかり。「介護の現場でどう回るのか」が想像できず、決めきれないまま閉じてしまう――これが繰り返されていました。
介護のマニュアルは、実は「特殊」
迷う最大の理由は、介護の業務がマニュアル化しにくい構造だからです。
- 利用者ごとに手順が変わる(同じ入浴介助でも、麻痺の有無や本人の希望で手順が違う)
- 多職種が同じ手順書を見る(介護職・看護職・相談員・送迎ドライバーで必要な粒度が違う)
- 24時間シフト制で、全員が集まる時間がない(説明会形式の周知が成立しない)
- 紙・口頭の文化が根強い(PCが苦手な職員も多く、ログインが増えると使われなくなる)
- 事故・ヒヤリハットのたびに更新が必要(作って終わりではなく、改訂が前提)
つまり介護施設のツール選びは「機能が多いものを選ぶ」ではなく、この特殊事情に耐えられるかをチェックすることが本質なのです。
ツール導入が後回しになる3つの理由
理由1:「専用サービスでないとダメ」という思い込み
マニュアル作成ツール=動画マニュアル専用のSaaS、というイメージから「うちの規模には高すぎる」と最初から諦めがちです。実際には、多くの施設がすでに持っているWordやGoogleドキュメント、スマホのカメラで十分に形になります。
理由2:全部を一度に作ろうとして力尽きる
「業務マニュアル」と言われると全業務を網羅した分厚い冊子を想像し、着手前に諦めてしまいます。実際に効果が出るのは、新人が最初の1週間でつまずく5つの業務だけを先に作るやり方です。
理由3:職員に使ってもらえるか不安
新しいアプリを入れても、ログインの手間で使われなくなった経験がある施設は少なくありません。だからこそ「今すでに開いているもの」の中で完結させるのが安全です。
介護施設のマニュアル作成ツールの選び方(5つのチェックポイント)
森下さんがたどり着いた、介護目線のチェックポイントは次の5つです。
- 費用:まずは無料で始められるもの(Googleドキュメント、Wordなど手持ちのソフト、無料のAI)から検討する。有料の専用サービスは、更新が習慣化してから比較しても遅くありません。※各サービスの料金プランは変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
- スマホで開けるか:介護現場のマニュアルは、事務所のPCではなくその場で確認できることが価値です。QRコードや共有リンクでスマホから開けるかを最優先で確認します。
- 更新のしやすさ:ヒヤリハットのたびに直せるか。「編集できるのは1人だけ」の形式にすると、その人が休んだ日に更新が止まります。
- 写真・動画を貼れるか:移乗や整容など、文章だけでは伝わらない手順は画像が要ります。スマホで撮った写真をそのまま貼れる形式が現実的です。
- 個人情報を書かずに運用できる設計か:利用者名や病名を手順書に直接書くと、共有範囲の管理が一気に難しくなります。「Aさん」「利用者様」表記で書ける構成にできるかを確認します。
森下さんの結論は「Googleドキュメント(共有リンク+QRコード)+スマホ撮影+無料AI」でした。新しい契約はゼロです。
介護施設のマニュアル作成ツールの選び方について、さらに詳しく学びたい方にはこちらの書籍がおすすめです。
AIでマニュアルの叩き台を作る(ステップ解説)
ツールが決まったら、あとは中身です。ここでChatGPTなどの無料AIを「書く人」ではなく「聞き出す人」として使うのがコツです。
ステップ1:つまずく業務を5つだけ選ぶ
新人が最初の1週間で必ず質問することを書き出します。森下さんの場合は「朝の受け入れの流れ」「入浴介助の準備」「送迎の引き継ぎ」「記録の書き方」「緊急時の連絡順」の5つでした。
ステップ2:口頭で説明したことをそのまま文字にする
スマホの音声入力で、いつも新人に話している内容を3分だけ話して文字にします。きれいな文章にする必要はありません。
ステップ3:AIに整理してもらう
文字にしたメモをAIに貼り付け、手順書の形に整えてもらいます。
ステップ4:現場で1回試して直す
実際に新人に使ってもらい、詰まった箇所だけ追記します。完成を目指さず「70点で公開、使いながら直す」が続くコツです。
森下さんが実際に使ったプロンプト例
> あなたは介護施設の教育担当です。以下は、私が新人職員に口頭で説明している内容の書き起こしです。これを、初めて出勤する職員が1人で読んで動ける手順書に整理してください。条件:①番号付きの手順にする ②各手順に「なぜそうするのか」を1行添える ③危険・事故につながるポイントは【注意】として目立たせる ④利用者名は「Aさん」など仮名にする ⑤専門用語には短い説明をつける。[ここに書き起こしを貼る]
「なぜそうするのか」を入れさせるのが効いた、と森下さんは言います。理由が書いてあると、利用者ごとに手順を変えるときの判断が職員自身でできるようになるからです。
失敗談:最初は全業務を一度に作ろうとして頓挫した
最初の1か月、森下さんは全32業務のマニュアルを作ろうとして挫折しました。「5つに絞ってからは、1業務15分で叩き台ができた」とのこと。範囲を狭めることが、実は一番の時短でした。
動画とQRコードで「見るマニュアル」にする
移乗介助やリフトの操作など、文章では伝わりにくい手順はスマホで30秒だけ撮影します。撮影した動画は共有ドライブに置き、そのリンクをQRコードにして、手順書と現場(浴室の扉、送迎車のダッシュボードなど)に貼っておきます。
撮影時の注意点は2つ。利用者が映り込まないようにすること(職員同士で演じる)、撮影と共有について事前に職員の同意を得ることです。顔が映る動画は取り扱いが難しくなるため、手元だけを写す構図が安全です。
最近はAIが検索結果を要約して表示する時代です。自分のお店がAIに紹介されるかどうか、AIOスコア診断で無料チェックしてみるのもおすすめです。
導入前後でどう変わった?数字で見るビフォーアフター
森下さんの施設の変化を数字で見てみましょう。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| マニュアル整備にかける時間 | 月約20時間 | 月約5時間 |
| 新人へのつきっきり説明 | 1人あたり約12時間 | 1人あたり約6時間 |
| 夜勤帯からの確認電話 | 週5〜6件 | 週2件前後 |
| 手順書の更新頻度 | 年1回あるかどうか | ヒヤリハットの都度 |
月15時間の削減は、人件費に換算すれば月4万円前後のコスト削減に相当します。それ以上に大きいのは、「管理者がいないと止まる」状態から抜け出せたこと。森下さんが休んだ日でも、現場がスマホで手順を確認して動けるようになりました。
もっと深く学びたい人へ
森下さんは「AIに何をどう頼むかで、出てくる手順書の質がまったく違った」と話します。ChatGPTは聞き方(プロンプト)次第で結果が大きく変わるため、体系的にまとまった入門書を一冊手元に置いておくと、独学の遠回りを防げます。
この記事の内容をもっと体系的に学びたい方へ。実践的な一冊をご紹介します。
よくある質問
Q1: 利用者の個人情報をAIに入れても大丈夫ですか?
入れないのが原則です。氏名・生年月日・病名・住所などは手順書にもAIへの入力にも含めず、「Aさん」「利用者様」といった仮名で書きます。手順そのものは個人情報を含まなくても十分に作れます。事業所として利用ルール(何を入力してよいか)を1枚にまとめ、職員に共有しておくと安心です。
Q2: 有料のマニュアル専用ツールは必要ないのでしょうか?
不要とは限りません。動画本数が増えて管理が追いつかない、閲覧状況を把握したい、といった段階になれば専用ツールの価値が出ます。ただし更新が習慣になっていない段階で契約すると、機能を使いきれないまま費用だけが残ります。まず無料の組み合わせで3か月運用し、続いたら比較検討するのが現実的です。
Q3: 初心者におすすめの本やツールはありますか?
ツールは「Googleドキュメント(またはWord)+スマホ撮影+ChatGPT(無料版でも可)」の組み合わせで十分始められます。あわせてChatGPTのビジネス活用入門書を一冊読んでおくと、手順書づくりの指示が最初から的確になります。森下さんも「本で覚えた『役割を与えてから頼む』を実践したら、いきなり使える叩き台が出てきた」と話しています。
まとめ:森下さんからのひとこと
最後に、森下さんからのメッセージです。
「ツール選びで3か月止まっていたのが、いま思えばいちばんの無駄でした。うちに必要だったのは新しいサービスではなく、『5つに絞る』『スマホで開ける』『70点で公開する』の3つだけ。特別なものは何も契約していません。同じように比較タブを開いたまま止まっている方は、まず新人がいちばん困る1業務だけ、音声入力とAIで15分作ってみてください。それが動いた瞬間に、残りは自然と進みます」
介護施設のマニュアル作成ツール選びは、高機能な専用サービスを探すことではなく、すでに使っているものと無料のAIで小さく始め、更新が続く形にすることがコツです。続けられる形さえできれば、あとから必要な機能を足していけます。
※本記事に登場する人物・店舗名は架空のものであり、実在の個人・団体とは関係ありません。事例は同業種でよくあるお悩みをもとに構成したフィクションです。効果や数値はあくまで想定であり、成果を保証するものではありません。
この記事の監修
かわさき楽AIサポート(株式会社スマイルファクトリー)
川崎の中小企業・個人事業主・個人がAIを「楽に」「楽しく」活用できる状態をつくるAI活用支援サービス。無料ツール中心で、AIの専門家ではなく『整理役・伴走者』として業務効率化を支援します。
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