介護施設 経理作業の時短 人手不足で回らない → AIに任せたら楽になった話
この記事の要点
介護施設の経理作業を時短する方法を、施設長のリアルな物語で解説。ChatGPTと無料ツールで月20時間削減した具体的手順とプロンプト例を紹介します。
午後8時。利用者さんが寝静まったフロアの片隅、事務室の蛍光灯だけがついています。デスクには領収書の束、職員のシフト表、給付費請求の書類。施設長の田中由美さん(54歳・女性)は、電卓を片手にため息をつきました。「日中は現場、夜は経理。これがあと何年続くんだろう」。最近では沖縄・南風原町のデイサービスで生成AIの勉強会が開かれたというニュースも目にしましたが、「うちにはそんな余裕、ない」と思っていたそうです。これは、そんな田中さんが半年後に「もっと早く知りたかった」と笑うまでの物語です。
結論から言えば、介護施設の経理作業の時短は、ChatGPTと無料クラウド会計ツールの組み合わせで、月およそ20時間以上を削減できます。 専門知識も高額ソフトも不要。今日から始められる方法を、田中さんの実例に沿ってお伝えします。
田中さんが施設長を務めるのは、利用者定員29名の小規模多機能型居宅介護事業所。職員は常勤・非常勤あわせて18名。経理専任はおらず、田中さんと事務パートさん(週3勤務)の2人で、現場の合間にやりくりしています。田中さんの「1つの具体的な困りごと」は——毎月の領収書・経費の仕分けと、月次の収支まとめに、ひとりで月25時間以上かかっていること。これが今回の物語の軸です。
※本記事の事例は、介護施設でよくあるお悩みをもとに構成したフィクションです。
介護施設の経理作業の時短、なぜこんなに大変なのか?
田中さんの「ある月末」を見てみましょう
月末最終週、田中さんの夜はこうです。まず雑費・消耗品の領収書を1枚ずつエクセルに手入力(紙おむつ、消毒液、行事の材料費……種類が多い)。次に職員の交通費精算、利用者さんからの実費徴収(食費・おむつ代)の突き合わせ。さらに介護給付費の入金確認。気づけば毎晩2時間、月にして25〜30時間が「数字を写す作業」に消えていきます。
「現場で利用者さんと向き合う時間こそ本業なのに、その時間を削って数字と格闘している」。田中さんが一番つらかったのは、この本末転倒感でした。
介護業界特有の「経理が重くなる」事情
介護施設の経理は、一般の小売店より複雑です。理由は3つあります。
- 収入源が複数ある:介護給付費(国保連からの入金)、利用者自己負担、実費徴収(食費・日用品)が混在する
- 少額の経費が大量に出る:消耗品、行事費、送迎の燃料費など、1件数百円の領収書が膨大
- 人手が絶対的に足りない:日経メディカルでも「介護現場でAI普及が進む一方で導入の壁がある」と報じられた通り、現場優先で事務は後回しになりがち
つまり「作業量が多い × 人がいない × 専門ソフトの導入ハードルが高い」の三重苦。これが田中さんのような小規模施設の現実です。
介護施設で経理作業の時短が放置されがちな3つの理由
田中さんも以前は「いつかちゃんとしよう」と思いつつ、3年間ずっと手作業のままでした。なぜ放置されるのか。理由を整理します。
理由1:業界構造の壁 ——「経理は片手間」が当たり前
介護施設では人員配置基準で介護職員数は決まっていますが、事務職員の専任配置までは小規模だと難しい。結果、施設長や生活相談員が「兼任」するのが常態化しています。専任がいないから改善のきっかけも生まれません。
理由2:時間の壁 ——「改善する時間すらない」
田中さんの口癖は「効率化したいのは山々だけど、その勉強をする30分が取れない」でした。目の前の業務に追われ、ツールを調べる余裕がない。これは多くの施設長が共感する点でしょう。
理由3:心理の壁 ——「AIなんて難しそう」
「ITに弱い」「個人情報が心配」「どうせ高いんでしょう」。田中さんも最初はそう思っていました。実際には無料から始められ、利用者の個人情報を入力しなくても経理の時短は十分可能なのですが、その情報にたどり着けていなかったのです。
経理作業の時短をAIで解決する方法(ステップ解説)
転機は、知人の施設長から「ChatGPTで経費の分類、一瞬だよ」と聞いたこと。半信半疑で田中さんが踏んだ手順を、そのまま紹介します。
ステップで進めた導入プロセス
- クラウド会計ツールを無料プランで開設する
田中さんはまず freee会計 <!-- TOOL:freee会計 --> の無料プランに登録。銀行口座とネットバンキングを連携し、入出金が自動で取り込まれる状態にしました。これだけで「通帳を見ながら手入力」が消滅します。
- 領収書の分類ルールをChatGPTに作らせる
バラバラだった経費科目を整理するため、こう入力しました。
「介護事業所の経理初心者です。よく出る経費(紙おむつ、消毒液、行事材料費、送迎ガソリン代、職員交通費)を、適切な勘定科目に分類した一覧表を作ってください。」
返ってきた表を、そのまま仕分けの基準シートにしました。
- 領収書をまとめてテキスト化し、ChatGPTで仕分けする
1か月分の領収書をスマホで撮影し、内容を箇条書きで貼り付けて指示します。
「以下の経費リストを、先ほどの勘定科目分類に従って表形式に整理してください。日付・金額・科目・摘要の4列で出力してください。」
今まで2時間の入力作業が、15分の確認作業に変わりました。
- 月次の収支サマリーをChatGPTに要約させる
会計ツールから出した数字を貼り付けて、
「この収支データをもとに、前月比のコメントと、注意すべき支出項目を3つ、わかりやすい日本語でまとめてください。」
理事会への報告コメントが数分で下書きできるようになりました。
- 定型の経理メールもAIに下書きさせる
「取引業者へ、請求書の再発行をていねいに依頼するメール文を作ってください。」——こうした細かい文章作成もまとめてAIに任せました。
田中さんが最初に読んだ一冊
実は田中さん、いきなりプロンプトを書けたわけではありません。「最初に何を聞けばいいのかすら分からなかった」そうです。そこで手に取ったのが、ChatGPTのビジネス活用を解説した入門書でした。「この本に書いてあった『AIには役割と前提を伝える』を実践したら、急に欲しい答えが返ってくるようになったんです」と振り返ります。
介護施設の経理作業の時短について、さらに詳しく学びたい方にはこちらの書籍がおすすめです。
失敗談:最初はうまくいかなかった
正直に言うと、田中さんの初挑戦は失敗でした。最初は「経費を分類して」とだけ入力し、的外れな一般論が返ってきたのです。「やっぱりうちには無理かも」と一度は諦めかけました。
解決のきっかけは、入力の仕方を変えたこと。「介護事業所であること」「初心者であること」「出力形式(表で4列)」を最初に伝えるようにしたら、精度が一気に上がりました。AIは"前提を教えるほど賢くなる"——これが田中さんの学びでした。
もうひとつのAI活用法:無料ツールとの組み合わせ
ChatGPT単体でも時短できますが、田中さんが本当に楽になったのは「無料ツールとの合わせ技」を覚えてからでした。
組み合わせ1:Googleフォーム+スプレッドシートで「立替経費の入口」を一本化
職員の立替経費を、紙の精算書ではなくGoogleフォームで申請する仕組みに変更。回答は自動でスプレッドシートに溜まります。月末、そのシートをコピーしてChatGPTに貼り付け、「この立替経費一覧を、職員ごと・科目ごとに集計して」と指示すれば集計表が即完成。転記ミスもゼロになりました。
組み合わせ2:LINE公式アカウントで利用者家族への実費連絡を効率化
食費・おむつ代など実費の案内を、これまで紙で配っていた田中さん。LINE公式アカウント <!-- TOOL:LINE公式アカウント --> (月200通まで無料)を導入し、ChatGPTで「ご家族向けに、今月の実費徴収額をていねいかつ簡潔に案内する文章を作って」と下書きさせて一斉配信。問い合わせ対応の時間も減りました。
組み合わせ3:Canvaで報告資料を見やすく
理事会用の収支サマリーは、Canva <!-- TOOL:Canva --> の無料版で簡単なグラフ入り1枚資料に。「文章は読まれないけど、図にしたら理事に一発で伝わった」と田中さんは笑います。経理BPO向けに「OSUSHI AI BPO」のようなAI業務基盤が登場するなど、2026年に入って経理のAI化は加速していますが、小規模施設はまず無料ツールの組み合わせで十分戦えます。
導入前後でどう変わった?数字で見るビフォーアフター
田中さんの半年後の変化を、数字で見てみましょう。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 月の経理作業時間 | 約25〜30時間 | 約7時間 |
| 領収書の月次入力 | 2時間×複数回 | 合計15分の確認のみ |
| 立替精算の集計 | 紙で約3時間 | 自動集計+確認10分 |
| 理事会報告資料の作成 | 約2時間 | 約20分 |
| 残業(経理起因) | 月20時間超 | ほぼゼロ |
月およそ20時間以上の削減。 仮にこの時間を時給換算(1,800円)すると、月36,000円以上のコスト削減に相当します。さらに導入したツールはほぼ無料プランのため、追加コストはほとんどかかっていません。
何より田中さんが喜んだのは、「夜の事務作業が消えて、日中に利用者さんとゆっくり話せる時間が戻ってきたこと」。47NEWSが報じた「利用者と向き合う時間の確保」が、まさに田中さんの施設で実現したのです。
もっと深く学びたい人へ
田中さんは今、他の科目への応用や、職員向けの簡単なAI研修も始めています。「最初の一冊で土台ができたから、次のステップに進めた」とのこと。これから始める方が、つまずかずに最短で時短にたどり着くための参考書として、田中さんは下記のような実務書を周囲にすすめています。
この記事の内容をもっと体系的に学びたい方へ。実践的な一冊をご紹介します。
よくある質問
Q1: 利用者さんの個人情報をAIに入力しても大丈夫ですか?
氏名・要介護度・病歴などの個人情報は入力しないのが原則です。経理の時短で扱うのは「金額・科目・日付」など個人が特定されない数字が中心なので、そこだけをAIに任せれば安全に活用できます。心配な場合は施設内でルールを1枚作っておくと安心です。
Q2: ITが苦手な職員でも続けられますか?
田中さんの施設の事務パートさん(60代)も問題なく使えています。コツは「毎月使う3〜4個のプロンプトを文書で保存し、コピペで使い回す」こと。ゼロから入力させないだけで、定着率が大きく変わります。
Q3: 初心者におすすめの本やツールはありますか?
まずは無料の freee会計やChatGPTから始めるのがおすすめです。あわせて、AIへの指示の出し方(プロンプトの基本)を体系的に解説した入門書を1冊持っておくと、独学のスピードが何倍も変わります。田中さんも「本を1冊読んだ時間が、その後の何十時間を生んだ」と話しています。
まとめ:田中さんからのひとこと
最後に、田中さんからのメッセージです。
「正直、AIなんて自分には関係ないと思っていました。でも、難しいシステムを入れたわけじゃありません。無料のツールと、ちょっとした聞き方の工夫だけ。それだけで、毎晩の事務作業から解放されて、利用者さんとの時間が戻ってきました。同じように夜の事務室で電卓を叩いている施設長さんがいたら、まず1か月分の領収書だけでいいので試してみてほしい。きっと『もっと早くやればよかった』って言いますよ」
人手不足は介護業界の構造的な課題です。だからこそ、人がやらなくていい作業はAIに任せ、人にしかできないケアに時間を使う。その第一歩は、今夜の領収書の山からでも始められます。
なお、川崎エリアで「うちの施設に合わせて誰かに伴走してほしい」という方は、無料ツール中心で押し売りをしない「かわさき楽AIサポート」のような地域の支援サービスに一度相談してみるのも、遠回りに見えて近道かもしれません。
※本記事に登場する人物・店舗名は架空のものであり、実在の個人・団体とは関係ありません。事例は同業種でよくあるお悩みをもとに構成したフィクションです。効果や数値はあくまで想定であり、成果を保証するものではありません。
この記事の監修
かわさき楽AIサポート(株式会社スマイルファクトリー)
川崎の中小企業・個人事業主・個人がAIを「楽に」「楽しく」活用できる状態をつくるAI活用支援サービス。無料ツール中心で、AIの専門家ではなく『整理役・伴走者』として業務効率化を支援します。
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